1. Coconut stage

    6組のバンドが爆音で表現し合うココナツステージ。開場時間を過ぎてライブハウスに人が集まり始めた。
    ココナツステージのトップバッターは紅一点バンド、Plum Quartz

    力強い演奏と、可愛らしさとかっこよさを持ち合わせた歌声に魅了される。様々なジャンルを織り交ぜたような音楽に自然と体が動いてしまう。
    Vo.アイチャンが「ベース!」と言うと、S.Ba. Haruyaが前へ登場。ここぞとばかりにかき鳴らされるベースに大きな歓声があがり、フロアは一気に盛り上がりをみせる。
    最後は「ハッピーになれる曲を!みんなで歌ってください!ええねん!」の声から始まったウルフルズのカバー、「ええねん」。力強くポジティブな「ええねん」に、可愛らしさが加わり、フロアは幸せな一体感に包まれた。

    夏ドキフェスのテーマ「ハッピー」にちなんだ曲をコピーすると2ヶ月前から公言してくれていたPlum Quartz。答えは「ええねん」だった。

    高揚感がフロアに漂ったまま、続いて全員大学2年生のフレッシュなバンド、トラベリングがココナツステージへ登場。

    疾走感のあるメロディとストレートな歌詞の楽曲たちに高まっていくフロア。Ba.ちはるのコーラスが格好良さの詰まった激しい楽曲に華を添える。
    MCではDr.ひでやすが「夏にドキドキといえば?」とイベント名にちなんだ問いを投げかける。「夏といえば恋でしょ!」と次の曲へ繋げていく。

    そしてトラベリングの代表曲と言っても過言ではない最後の曲「Call Out」になると、次々に拳があがり、フロアの熱は一気に最高潮に。キラキラとはじけるトラベリングの演奏は、体を動かさずには聴いていられなかった。

    トラベリングから続く熱も冷めやらぬまま、コルクバードのステージへと突入。

    この日はコルクバードの「しずく」のレコ発でもあり、メンバーはもちろん、ファンたちの熱量も十分だ。そして、曲が終わるたびにあがる歓声。アットホームな雰囲気のMCにフロアは笑顔が絶えない。音に体を揺らし楽しむ人や段々と夜になりお酒を片手に聴く人、各々がコルクバードのメロディックな音楽を存分に楽しんでいる。

    1曲目「しずく」の爽やかで日常を切り取ったかのような歌詞が心地よさを一気に引き出す。心まで暖かくなるようなコルクバードの音楽は、どこか懐かしい気分にさせてくれた。

    ココナツステージ4番目のアクト、moon grin

    コルクバード とは全く異なる世界観でフェスのクライマックスに向けて彩り を添える。
    黄色いスカートのVo.&Gt. MOERIと赤いワンピースに身を包んだBa. RINAの華やかな女性ユニット。

    シリアスな雰囲気を纏い1曲目「アイスクリーム」がスタート。ミステリアスな曲調に紫や赤の照明の効果が重なり渦巻いていく。
    2曲目からは1曲目と対照的に高音が美しく響くポップなメロディ。ミラーボールが回り、流れる独特なバックミュージックにより、ライブハウスがまるでダンスフロアのような空間へ。
    男性バンドに負けないパワフルさの中に美しさと妖艶さを兼ね備えた2人の演奏にフロアの誰もが釘付けだった。

    ついに残り2組となったココナツステージに登場したMY AWESOME ORCHESTRA

    1曲目「UNROCK」からフロアいっぱいにあがる拳。曲を重ねるにつれ、華やかさとスケール感が増していくステージ。
    手を振ったりジャンプをしたり、フロア一体となってライブを創りあげ、観客たちが自然と笑顔になっていく。
    終盤に向けて盛り上がりが加速している最中、突如消えるメンバー。するとそこに動物の仮面と黒いマントを着た5人が再登場。

    思いがけない演出に大きな歓声があがる。
    観客を巻き込んだ参加型のライブで熱気を最高潮に高め、「ライバルであり仲間である」Sunday is Wednesdayへとバトンをつないだ。

    ライブ前にスクリーン上に流された紹介VTRから、待ち遠しいとばかりに拍手や歓声が響き、周りを見渡すとフロアは既に超満員。
    そこに登場したのは、ついにこのフェスの大トリであり主催バンド、Sunday is Wednesday

    1曲目からサンウェイらしさの詰まった「君に口づけを」。笑顔溢れるメンバーにつられて笑顔になる観客たち。
    「みなさん、夏ドキしてますか!」Vo.越野が叫ぶと大きな歓声が沸くフロア。
    盛り上がりを見せたまま2曲目の「ねこ待つ君へ」。「白から赤へ」と歌うようにみるみるうちにフロアがサンウェイの色に染まっていく。

    夏の曲と称された「Summer Nudist Beach」では、フロアいっぱいのキラキラした笑顔と照明が夏らしさを際立たせ、夏ドキはどんどん白熱していく。MCでは「やりたいことをやらないと後悔する気がするんだ」と語る越野。その言葉に力をもらったのは決して私だけではないと思う。
    暑苦しくも周りを全力で照らすサンウェイはまるで真夏の太陽のように輝いていた。最高のテンションを維持したまま本編は終了。
    鳴り止まない拍手と歓声の中、アンコールへ。「感情爆発=ハッピー!」をコンセプトにしている彼らの企画ライブはたくさんのドキドキ・ワクワクが詰め込まれたまさに「ハッピー」な空間そのものだった。

    以上6組のバンドによる計4時間のライブが終了した。キッズステージからココナツステージに移動し、ライブハウスを「初体験」する来場者もたくさんいた。
    ドキドキしてライブハウスのドアを開けた人たちへ、ライブに行き慣れたキッズたちへ、すべての人を心の底から楽しませようと全バンドが表現し、しのぎを削りココナツステージの幕が閉じた。

    (写真:東海林ひろ)
    (文:藤田亜美)